提言「『休暇』から『休活』へ~有給休暇の活用による内需拡大・雇用創出」
有給休暇の完全取得で16兆円の経済波及効果、188万人の雇用創出へ
2009年9月25日
公益財団法人 日本生産性本部
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民間と地域が連携し観光を中心とした地域活性化を推進する「観光地域経営フォーラム」(代表幹事:麻生渡・福岡県知事、須田寛・東海旅客鉄道相談役、福川伸次・機械産業記念事業財団会長、望月照彦・多摩大学教授)は、未取得有給休暇完全取得の経済効果に関する試算結果を発表しました。完全失業率が5.7%を記録するなど雇用確保が喫緊の課題となっている現在、大規模な財政支出を伴わずに、約16兆円の経済波及効果が得られ、約188万人の雇用創出が可能になります。同フォーラムでは、試算結果を基に下記の提言を発表しました。
【経済波及効果の試算結果】
日本の労働者が未取得の年次有給休暇・約4億3,000万日を完全取得することによって、下記の経済波及効果が得られる。
- 1.余暇消費支出額の増加、雇用増による消費支出額増加、投資による効果を合算すると、約15兆6,300億円の経済波及効果が得られる(日本のGDPの約3%に相当)。
(他の経済波及効果 参考例)高速道路土日料金1,000円制:1.7兆円(2年間)、東京五輪開催:2兆8,000億円 - 2.経済活動活性化による新規雇用創出と、休暇の増加による代替雇用の創出を合算すると、約187.5万人の雇用が創出される(完全失業者の約52%を解消)。
(他の雇用創出効果 参考例)グリーン家電エコポイント制:12万人、エコカー減税:12万人
【有給休暇完全取得への提言】
- (1)休暇法制の見直し
2労働週の連続休暇を労働者に保証することを法律で定める(国際労働機関(ILO)132号条約第8条2項に準じる内容を、労働基準法の改正あるいは休暇に関する事項を規定する法律を新たに制定して定める)。
- (2)計画年休制度の活用促進
計画年休制度の最大限の活用により連続休暇を実現するため、労使が協力して取り組みを進める。
- (3)サービス経済下の休暇の受け皿づくり
公的機関が先頭に立って、年中無休化などの国民の利便性に資するサービスを提供する。特に、公的機関が運営する文化・レジャー施設(博物館、美術館等)は平日休業の撤廃、行政機関窓口、公立病院等の公共サービス機関は休日の営業日化を進める。また、観光圏の整備等を更に進め、滞在型休暇を楽しめるプログラム・環境を整備する。
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