調査・研究レジャー白書

レジャー白書2008

~「選択投資型余暇」の時代~

2008年7月31日
公益財団法人 日本生産性本部

財団法人 社会経済生産性本部の余暇創研は、『レジャー白書2008~「選択投資型余暇」の時代~』をとりまとめた。同白書は、全国15歳以上3,000人対象の余暇活動実態調査結果等をもとに、わが国における余暇の実態を需供双方の視点から総合的・時系列的にとりまとめている唯一のもので、昭和52年の創刊以来通算32号目になる。

■■■レジャー白書2008の概要■■■

【1】 日本人の余暇活動の現状 ~身近な行楽系・インドア系レジャーが好調~

平成19年は個人消費の回復もあり、前年の18年に比べ参加人口を伸ばす種目が目立った。

  • 話題施設のリニューアルの進んだ「動物園、植物園、水族館、博物館」(対前年比340万人増)のような“行楽系”の種目や、Wii等の新型ハードが好調であったテレビゲーム(同70万人増)のような“インドア系”の種目で、参加人口を伸ばす種目が多くみられた。
  • その一方で、「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉)」や「帰省旅行」等、遠距離の移動を伴う種目では参加人口が伸び悩んだ。また、近年参加人口が続伸していた「宝くじ」だが、平成19年は対前年で370万人減と頭打ちとなった。

【2】 余暇関連産業・市場の動向 ~余暇市場規模は74兆円/ギャンブル系以外は堅調~

平成19年の余暇市場は74兆5,370億円、前年比では5.8%の縮小となった。これは規模の大きいパチンコ市場の落ち込みが反映したもので、それを除いた市場規模はほぼ横ばいで推移している。

  • スポーツ部門(前年比+0.5%)は、ゴルフ場・ゴルフ練習場が好調。メタボ対策として健康スポーツが注目された。
  • 趣味・創作部門(前年比-2.2%)は、一眼レフタイプのデジカメや、大画面液晶・フルハイビジョン対応のテレビが販売台数を伸ばした。
  • 娯楽部門(前年比-8.5%)は、パチスロ機への規制に伴いパチンコ市場が約4.5兆円減と大きく落ち込んだ。テレビゲームは好調が続く一方、ゲームセンターは苦戦。
  • 観光・行楽部門(前年比+1.0%)は、ホテル業界や会員制リゾートクラブが堅調に推移。国内旅行は微減、海外旅行者数も減少したが、燃料サーチャージの上昇で見かけ上市場は拡大している。乗用車は、海外市場の伸びに対し国内市場の伸び悩みが続いている。

【3】 特別レポート

◆「ニュー・レジャー」の市場規模は“約10兆円”

  • 「携帯電話の余暇利用」「温浴施設」など、この10年で伸びてきている「ニュー・レジャー」25種目についてアンケート調査をベースに市場規模を推計した結果、市場規模総額は10兆4,340億円となった。また今後の参加希望をもとに算出した「潜在市場規模」では12兆円という数字になっており、今後のさらなる市場拡大が期待される結果となった。

◆「選択投資型余暇」の時代

  • 91種目の余暇活動定点観測種目について見ると、一人の人が1年間に経験する余暇活動種目数は、この10年で17.8種目から14.5種目に縮小。特に10代の若年層を中心に余暇活動の“絞り込み”の傾向がはっきり見られた。若年期の余暇経験の貧困化は、この層の中高年期における活動低迷につながる恐れがあり、将来の余暇需要のいっそうの縮小が懸念される。
  • 一方、この10年で9割の種目が参加率の水準を落としたにも拘らず、年間平均参加回数が上昇した種目は6割にのぼっている。つまり“好きな種目にはいっそう盛んに参加する一方で、関心の低い種目への参加は控える”-余暇活動の「選択投資化」の傾向がはっきり認められた。こうした消費者の志向の変化に対応した需要開拓戦略の転換が求められる。
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