労働生産性の国際比較 1999年版
1999年11月4日
公益財団法人 日本生産性本部
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財団法人 社会経済生産性本部は、OECD加盟29カ国を対象とした1999年版労働生産性の国際比較をまとめた.報告書では1997年のGDP(国内総生産)を97年の購買力平価1ドル=164円で評価し,ドル換算GDPを就業者で除して得られた労働生産性を測定している.同様な方法で測定した各国の生産性を比較したところ,1997年の日本の就業者1人当り付加価値(労働生産性)は47;284ドル(775万円)で,OECD加盟29カ国中第17位であった.ちなみに,昨年96年は第15位,91年(最も順位が高かった年)は13位であった。
主な結果は以下の通り
- 1.97年の労働生産性で第1位はベルギー,第2位はルクセンブルグで,大国では米国が第3位になっている。
- 2.主要7カ国中では第6位で日本よりも生産性水準が低いのは英国のみであった.主要7カ国の1970年からみた生産性改善率では日本やイタリアで著しく,日本の労働生産性水準は70年当時米国の47%でしかなかったものが96年にはの81%(97年は79%)までになっている。
- 3.29カ国でみた生産性改善率では韓国がすばらしく,1971~97年の年率平均の労働生産性上昇率は6.35%で29カ国中第1位となっている。
- 4.国民の豊かさ指標である,購買力平価で評価した国民1人当りGDPは97年で日本は24;574ドル(403万円)で29カ国中第7位であった.過去,日本の順位が最も高かったのは91年の第4位であった。li>
- 5.製造業,卸売小売業・飲食店などの産業では,時系列的に労働生産性の動きと付加価値額(産出量)の動きが連動している。/li>
日本では全産業でみても労働生産性の動きと付加価値額(産出量)の動きが連動しており,需要(=生産量)の回復が望まれる.ちなみに,97年の実質労働生産性上昇率は29カ国中最下位であった。
問い合わせ:総合企画部 本間 TEL03-3409-1137
この調査はOECD加盟諸国について,国民1人当り国内総生産(GDP per capita,年平均為替レート換算および購買力平価換算),国民経済生産性(就業者1人当り国内総生産=GDP労働生産性),先進主要7カ国についての産業別・実質付加価値労働生産性の推移をman-yearbaseで比較したものである。
本書ではGDP労働生産性を測定するに当り,国別の付加価値をドルベースに換算比較しているが,その際の各国の通貨の評価は名目購買力平価で評価されたものを用いている.購買力平価というのは,ある組み合わせの一定の商品を購入するのに必要な両国の通貨の比率を平均化した値である.例えばマクドナルドのハンバーガーを例にとると,質量とも同じものが米国で4ドル,日本で400円で売られているとすれば,ハンバーガーの購買力平価は1ドル=100円となる.このような計測をGDPに対応すると考えられる商品群に適応したものである.1997年のGDP労働生産性を測定するのに用いられた97年の購買力平価は1ドル=164円である.
- (1)日本の97年のGDP労働生産性はOECD29カ国中第17位(本文p.11)
購買力平価(1ドル=164円)で評価した1997年の日本のGDP労働生産性はOECD加盟29カ国中第17位で47;284ドル(775万円)であった.第1位はベルギーの63;619ドル,第2位はルクセンブルグの61;947ドル,第3位は米国の59;934ドルであった(図1).日本は昨年(96年)は第15位であった。
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