調査・研究メンタル・ヘルス

第4回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果

企業における「心の病」は依然として増加傾向~職場とのつながりを感じられるかなどで増加傾向に差~

2008年8月5日
公益財団法人 日本生産性本部

財団法人 社会経済生産性本部のメンタルヘルス研究所(所長:小田 晋)はこの度、第4回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果を発表した。

この調査は、企業のメンタルヘルスに関する取り組みの実態を分析・解明するために、全国の上場企業2,368社を対象に2008年4月に実施したものである。(有効回答数269社、回収率11.4%)今回の調査は2002年、2004年、2006年に続いて4回目となる。

  1. 1)半数以上の企業で、最近3年間の「心の病」は「増加傾向」
    1. 1.最近3年間における「心の病」は56.1%の企業が「増加傾向」と回答。前回調査の61.5%より低下したものの、依然として半数を超える高い水準に留まっている。[図1]
    2. 2.年齢別にみると約6割(59.9%)の企業が30代に心の病が最も多いと回答。[図2]
  2. 2)メンタルヘルス施策を重視する企業がほぼ倍増
    1. 1.従業員の健康づくり施策全体の中で、メンタルヘルスに関する施策に力を入れる企業は63.9%となっている。この比率は2002年の2倍近い値となっている。2002年(33.3%)→2004年(46.3%)→2006年(59.2%)→2008年(63.9%)[図3]
    2. 2.メンタルヘルスの今後の取り組みについて、9割近く(86.9%)の企業で更に充実させる方向で考えている。[図4]
    3. 3.メンタルヘルス施策を通じて企業が期待している主な内容は、不調者の早期発見、不調者に適切な対応ができることなどである。[図5]
    4. 4.現在取り組んでいるメンタルヘルス施策について、約4割(38.7%)の企業で「まずまず効果が出ている」と回答している。「あまり効果が出ていない」という回答は16.0%で、「どちらともいえない」(40.1%)という回答も多い。[図6]
  3. 3)職場の状況で「心の病」の増加傾向に差
    「心の病」が増加する傾向は、職場の状況に関わる次の3つの変化と統計的に有意な関係がみられた。[図7]
    1. 1.「人を育てる余裕が職場になくなってきている」という企業では、「心の病」が増加した割合が60.2%であるのに対し、そうでない企業は35.3%にとどまっている。
    2. 2.「組織・職場とのつながりを感じにくくなってきている」という企業では、「心の病」が増加した割合が63.5%であるのに対し、そうでない企業は43.8%にとどまっている。
    3. 3.「仕事の全体像や意味を考える余裕が職場になくなってきている」という企業では、「心の病」が増加した割合が61.6%であるのに対し、そうでない企業は42.9%にとどまっている。

以上の結果から、メンタルヘルス施策の今後の方向性として、従来型の不調者の早期発見、早期対応に加えて、職場や組織風土の改善にももっと目を向けていく必要があると考えられる。

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