調査・研究メンタル・ヘルス

「メンタルヘルスの取り組み」に関する自治体アンケート調査結果

自治体でも[心の病]が増加傾向~背景に職場での助け合いやコミュニケーションの減少~

2007年7月31日
公益財団法人 日本生産性本部

財団法人 社会経済生産性本部のメンタル・ヘルス研究所(所長:小田晋)はこの度,「メンタルヘルスの取り組み」に関するアンケート調査結果を発表した.

この調査は今回が6回目となり,これまで企業と労働組合を対象に実施してきたが,自治体のメンタルヘルスに関する取り組みの実態を分析するために,今回初めて全国の自治体1,874組織を対象に2007年4月に実施した(有効回答数727,回収率38.8%).今回の調査は昨年企業を対象に実施したものとほぼ同じ内容で,企業との結果比較を行っている.

  1. (1)半数近くの自治体でこの3年間に[心の病]が増加
    1. 1.最近3年間における[心の病]は,約半数(47.7%)の自治体が[増加傾向]にあると回答している.[図1] 昨年企業に実施した結果(61.5%)に比べると低くなっているが,職員数が1,000名を超える規模の自治体ではむしろ企業を上回る割合になっている.
    2. 2.年齢別にみると,[心の病]は30代が最も多く(34.4%),次いで40代(30.8%)が多くなっている.[図2]
    3. 3.[心の病]による[1ヶ月以上の休業者]がいる自治体は53.4%で,規模が大きいほどその割合は高くなっている.[図3]
    4. 4.今後も[心の病]が増加すると考えている自治体は42.1%で,その中で最近3年間も[増加傾向]にあったという自治体は,62.5%に達している.[図4]
  2. (2)進む仕事と職場の変化 ~住民の行政を見る目が厳しくなっている
    1. 1.9割以上の自治体(94.6%)で一人当たりの仕事量がかなり増え,7割の自治体(71.8%)において,個人で仕事をする機会が増えている.さらに約5割の自治体で,職場のコミュニケーションの機会が減り(52.4%),職場の助け合いが少なくなっている(48.8%).
      その一方でほとんどの自治体(97.6%)で,住民の行政を見る目が厳しくなっていると感じている.[図5]
    2. 2.市町村合併をした職員数300人以上の自治体においてこの3年間の[心の病]が増加傾向にある自治体は61.4%で,市町村合併をしていない自治体の57.6%を3.8ポイント上回っているが,それほど明確な違いはみられない.[図6]
  3. (3)職場での助け合いやコミュニケーションが減少している自治体ほど増加傾向
    1. 1.職場での助け合いが減少したという自治体においては,[心の病]が増加傾向にある割合が56.3%にのぼっている.職場での助け合いが減少していない自治体においては[心の病]が増加した割合は39.7%にとどまっており,その差は16.6ポイントである.また,職場でのコミュニケーションの機会が減少したという自治体においても,[心の病]が増加傾向にある割合が54.3%で,減少していない自治体(40.7%)との差は13.6ポイントになっている.[図7]
    2. 2.[心の病]の増加傾向を抑えていくためには,今後の自治体行政のあり方をどういう方向で地域住民とともに創り上げていくのか,そのビジョンを全員でしっかり共有していくこと,組織内外の人のつながりの構築と,それを含めた意味での一人ひとりの働きがいに焦点を当てた活力ある風土づくりをいかに進めていくかが喫緊の課題である.
      (詳細及び図表については添付ファイルをご参照下さい)
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