調査・研究メンタル・ヘルス
第3回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果
6割の企業でこの3年間に「心の病」が増加~コミュニケーションや助け合いが減った企業ほど顕著な増加傾向~
2006年7月28日
公益財団法人 日本生産性本部
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財団法人 社会経済生産性本部はこの度、「メンタルヘルスの取り組み」に関するアンケート調査結果を発表した。
この調査は、企業のメンタルヘルスに関する取り組みの実態を分析・解明するために、全国の上場企業2150社を対象に2006年4月に実施したものである。
(有効回答数218社、回収率10.1%)今回の調査は2002年、2004年に続いて3回目となる。
- I6割の企業でこの3年間に「心の病」が増加
- 1.最近3年間における「心の病」は、6割以上(61.5%)の企業が「増加傾向」と回答。この割合は、過去2回の結果と比較すると一貫して増加している。2002年(48.9%)→2004年(58.2%)→今回2006年(61.5%)
- 2.年齢別にみると、「心の病」は30代に集中する傾向がより鮮明になっている。
- 3.「心の病」による「1ヶ月以上の休業者」は、74.8%の企業で存在。この割合も、過去2回の結果と比較すると一貫して増加している。2002年(58.5%)→2004年(66.8%)→今回2006年(74.8%)
- 4.従業員の健康づくり施策全体の中で、メンタルヘルスに関する対策に力を入れる企業が急増している。2002年(33.3%)→2004年(46.3%)→今回2006年(59.2%)
- II背景に職場の変化 ~7割近い企業で「個人で仕事する機会増えた」
- 1.7割近い(67.0%)企業において、個人で仕事をする機会が増えている中で、約6割(60.1%)の企業で、職場のコミュニケーションの機会が減り、5割近く(49.0%)の企業で、職場の助け合いが少なくなっている。
- 2.各従業員の責任と裁量のバランスが取れているという企業は約6割(60.1%)あるものの、とれていない企業も4割みられ、責任と権限がアンバランスになりがちな現状もあることが示唆される。
- III職場の横のつながりを取り戻すことが喫緊の課題
- 1.職場でのコミュニケーションの機会が減少した企業においては、心の病の増加した割合が71.8%にのぼっている。減少していない企業の心の病の増加割合は46.0%なので、その差は25.8ポイントである。また、職場での助け合いが減少したという企業においても、心の病の増加した割合が72.0%で、減少してない企業との差は20.6ポイントに、個人で仕事する機会が増えたという企業においては67.1%、増加していない企業との差は17.8%になって いる。
- 2.「心の病」の増加傾向を抑えていくためには、職場における横のつながりの回復と、責任と裁量のバランスがとれるような仕事の仕方の改革、そしてそれらを含めた意味での一人ひとりの働きがいに焦点を当てた活力ある風土づくりが喫緊の課題である。
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公益財団法人 日本生産性本部 メンタル・ヘルス研究所 ICT・ヘルスケア推進部(担当:高手、齋藤、中野)
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