「労働組合のメンタルヘルスの取り組み」に関するアンケート調査報告書
ここ3年、7割の労働組合で「心の病」が増加傾向~もっとも多い年齢層は「30代」~
2005年7月15日
公益財団法人 日本生産性本部
調査研究・提言活動 資料ダウンロード
財団法人 社会経済生産性本部はこの度、「労働組合のメンタルヘルスの取り組み」に関するアンケート調査結果を発表した。
この調査は、労働組合のメンタルヘルスに関する取り組みの実態を分析・解明するために、全国の単位労働組合から無作為抽出した2,384組合を対象に2005年2月に実施したものである。(有効回答数543組合、回収率22.8%)
調査結果のポイントは以下の通り。
- I.7割の労働組合において、ここ3年間の「心の病」は増加傾向にあると回答
組合員のここ3年間の「心の病」の増加傾向について、68.7%の労働組合が「増加傾向にある」と回答し、「心の病」が多い年齢層は「30代」とする労働組合がもっとも多い(49.9%)。「心の病」のため1ヶ月以上休業している組合員がいる労働組合も、68.1%ある。
なお、前回調査(2003年実施)に比べて、悪化傾向にあり、年齢層は40代から30代へとシフトしている。 - II.「心の病」の原因は、「職場の人間関係」との認識、「コミュニケーションの希薄化」の影響大
「心の病」の原因として、最も多くの労働組合が挙げているのは「職場の人間関係」(30.4%)であり、次いで「仕事の問題」(18.6%)となっている。
また、職場のメンタルヘルスを低下させる要因として最も影響が大きいものとして、「コミュニケーションの希薄化」を挙げる労働組合が最も多く(49.9%)、職場でのつながりや信頼関係が薄れていることが背景にあると考えられる。 - III.3分の2の労働組合が、運動方針に「メンタルヘルスの取り組み」を掲げる
現在の運動方針にメンタルヘルスの取り組みを「入れている」労働組合は65.4%であり、「検討中」を含めると8割に達している。具体的に取り組んでいる施策としては、「組合幹部向けの教育」(36.6%)、「組合報・小冊子によるPR」(33.3%)、「組合員へのメンタルヘルス講習会」(25.2%)などとなっており、教育・広報に関する施策が上位を占めている。
- IV.予防に有効なのは、「コミュニケーション・日常の世話活動」
メンタルヘルス対策として、執行委員や職場委員に「相談しやすい雰囲気作り」、「組合員の不満の聞き取り」という「コミュニケーション・日常の世話活動」を重視している労働組合では、「心の病」の増加傾向が低い。日頃から相談しやすい雰囲気作りに努めている労働組合は、メンタルヘルス対策でも「心の病」の芽を事前に摘み取る予防活動として功を奏していることがうかがえる。
お問い合わせ先
公益財団法人 日本生産性本部 メンタル・ヘルス研究所 ICT・ヘルスケア推進部(担当:高手、齋藤、中野)
WEBからのお問い合わせ