調査・研究メンタル・ヘルス
2009年版 産業人メンタルヘルス白書
2009年8月24日
公益財団法人 日本生産性本部
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財団法人 日本生産性本部のメンタル・ヘルス研究所(所長:小田 晋)は、この度2009年版 『産業人メンタルヘルス白書』を発表した。この白書は「心の病」が増加傾向にある中で、産業界におけるメンタルヘルスへの取り組みの促進を図るため、2001年から毎年発表している。今年の調査研究では、産業人の「希望」と「心の病による休業者の復職」をテーマとしている。
~ 2009年版 『産業人メンタルヘルス白書』の概要 ~
- 1)白書の構成
- 第1部 :第1章「産業人の『希望』の分析」~27年間一貫して低下~
第2章「心の病による休業者の復職の実態と問題点」~企業アンケート調査結果~ - 第2部 論文:メンタルヘルスに対する「行政」「企業」「労働組合」の取り組み 3編
「職場復帰」「性差とメンタルヘルス」「電話相談」をテーマとした論文 3編 - 第3部 取り組み事例報告:「企業」「地方自治体」「労働組合」の取り組み事例 3編
- 第4部 資料
- 第5部 年報
- 第1部 :第1章「産業人の『希望』の分析」~27年間一貫して低下~
- 2)概要
- 1.将来の希望を見出せなくなった現代の産業人
当研究所で実施している「JMI健康調査」の「希望」に関わる質問項目を用いて、産業人の「希望」の中味、変化の検証及び考察を行い、その結果、主に以下の点が明らかになった。- 「将来について特に不安はない」との回答は半減
今回のキー項目である「将来については特に不安はない」は、50%を超えた年もバブル期の入り口頃(1985・1986年度)にはあったが、最近(2007・2008年度)は25%前後で、将来に不安がないという人は1982年と比較して半減してしまった。 - 不安な時代に希望を見出すためには
「将来については特に不安はない」と共に、「定年後の生活に不安を感じている」「今の会社は安定しており今後の生活に不安はない」が同じ因子に分類された。希望はこれら社会制度的枠組みを通して認知されるとすれば、これらの制度の未来が描けるようにすることが求められる。
- 「将来について特に不安はない」との回答は半減
- 2.復職が順調な企業ほど「心の病」の発生に歯止め
この調査は、企業の心の病による休業者の復職に関する取り組みと実態、課題を解明するために、全国の上場企業2,237社を対象に2009年4月に実施したものである(有効回答242社)。- 「心の病」からの復職者がいる企業は、ほぼ4社に3社
過去1年間に「心の病」からの復職者がいた企業は、ほぼ4社に3社(74.3%)であった。復職プロセスに関して問題を多く抱える企業は約半数(49.2%)で、「心の病」の発生をみても強い増加傾向がみられた。逆に言えば、復職が順調な企業ほど「心の病」の発生に歯止めがかかっていることになる。 - 復職プロセスを成功させることは、「心の病」の未然防止につながる可能性
「心の病による休業者の復職」は、組織づくりの上でも重要なポイントである。職場には信頼感を、復職者には希望が描けるようにする制度的枠組みを与える可能性が示唆された。
- 「心の病」からの復職者がいる企業は、ほぼ4社に3社
- 1.将来の希望を見出せなくなった現代の産業人
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