2007年版 産業人メンタルヘルス白書
産業人の「信頼」低下が長期的に継続~新しい信頼関係の確立が急務~
2007年8月29日
公益財団法人 日本生産性本部
調査研究・提言活動 資料ダウンロード
財団法人 社会経済生産性本部のメンタル・ヘルス研究所(所長:小田晋)はこの度、2007年版 『産業人メンタルヘルス白書』を発表した。この白書は「心の病」が増加傾向にある中で、産業界におけるメンタルヘルスへの取り組みの促進を図るため、2001年から毎年発表している。今年の調査研究では、産業人の「信頼」が低下し、世代交代が大きな要因であることを明らかにしている。
~ 2007年版 『産業人メンタルヘルス白書』の概要 ~
- 1.白書の構成
- 第1部 論文
「信頼の時代のメンタルヘルス」
「労働者の心身両面の健康確保をめぐる動向と課題・対策」
「精神疾患に関する企業の法的責任と復職の際の法的留意点」
「公務労働者におけるメンタルヘルス問題及び対策の現状」
「相談室における『疲労』の対応」 - 第2部 調査研究
「『メンタルヘルスの取り組み』に関する自治体アンケート調査結果」 - 第3部 取り組み事例報告
「JFEスチールにおけるメンタルヘルスの取り組み」
「東海コープ事業連合におけるメンタルヘルスの取り組み」
「東武百貨店労働組合におけるメンタルヘルスの取り組み」 - 第4部 資料
- 第5部 年報
- 第1部 論文
- 2.調査研究の概要(産業人の「信頼」の経年変化)
「信頼」がソーシャル キャピタルとして重要であることは共通の認識が得られている。一方で、社会的な‘信頼の欠如’を危惧する声も大きい。産業人の「信頼」の現状はどうか、またその要因について、JMI心の健康診断の蓄積データにより経年変化から検証を行った。- (1)産業人の「信頼」は低下している
「会社の最高経営層に信頼感を持っている」(▲22%)、「職場の人はみんないい人だ」(▲17%)、「自分の思ったことはすなおに他人に話せる」(▲16%)など、信頼に関わる12質問項目からみた産業人の「信頼」は、1980年代前半に比べ低下してきている。
- (2)産業界の世代交代は「信頼」の低下へと繋がっている
「信頼」は時代の変化の影響を受けながらも、世代差を維持しながら推移している。世代が若くなるにつれ信頼は低下し、高信頼の世代が抜け、低信頼の世代が残ることで、産業界の平均的な信頼は低下している。2007年問題により、さらなる「信頼」の低下が懸念される。
- (3)信頼に応え、能力育成を図ることが喫緊の課題
経営への信頼を高めるには、経営が従業員の信頼にも社会の信頼にもしっかりと応えていくことが必要である。同時に、産業人が自己への信頼を高めるために、産業人の問題解決能力を育成することにより、問題山積の職場でも自己コントロール感をもって働くことが出来るようにすることが課題といえる。
- (1)産業人の「信頼」は低下している
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