調査・研究メンタル・ヘルス

2006年版 産業人メンタルヘルス白書

1998年の変換点~職場に広がる不安格差~

2006年9月4日
公益財団法人 日本生産性本部

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財団法人 社会経済生産性本部はこの度、2006年版『産業人メンタルヘルス白書』を発表した。この白書は「心の病」が増加傾向にある中で、産業界におけるメンタルヘルスへの取り組みの促進を図るため、 2001年から毎年発表している。

今年の調査研究では、1998年を境に職場において不安格差が生じていることを明らかにしている。

~ 2006年版 『産業人メンタルヘルス白書』の概要 ~

  1. I.白書の構成
    • 第1部 論文
      「景気回復・格差拡大時代のメンタルヘルス」
      「労働安全衛生法の改正と過重労働・メンタルヘルス対策について」
      「長時間労働と疲労がメンタルヘルスに及ぼす影響」
      「職場におけるうつ病の現状と職場復帰」
      「JMI電話相談からみた働く人のメンタルヘルス」
    • 第2部 調査研究 「『メンタルヘルスの取り組み』に関するアンケート調査結果」
      「1998年の変換点 ~JMIの経年変化にみる勤労者意識の変化~」
    • 第3部 資料
    • 第4部 年報
  2. II.調査研究の概要(「1998年の変換点 ~JMIの経年変化にみる勤労者意識の変化~」)

    1998年は金融機関の破綻が相次ぎ自殺者が3万人を超えるなど大きな変化の年であった。そのような変化が勤労者の意識やメンタルヘルスにどのような影響を与えたのか、JMI心の健康診断のデータにより経年変化から検証を行った。

    1. 1.1998年以降、不安格差が生じている

      自己不確実、劣等感、弱志、抑うつ、不安、偏倚の各尺度は1998年を変換点として上昇傾向に転じている。表現を変えて言えば、自信の欠如(自己不確実、劣等感、弱志)と不安格差(抑うつ、不安、偏倚)が生じており、職場全体のメンタルヘルスを低下させている。

    2. 2.職場領域の格差拡大は、職場の活性低下をもたらす

      職場領域のいくつかの尺度(将来への希望、仕事への負担感、仕事への意欲、同僚との関係、評価への満足感)は、格差が拡大する中で平均値を下げる傾向がみられる。

    3. 3.仕事志向を活かした活性化が必要 

      逆に1998年以降、課題から逃げずに粘り強くまじめに取り組む姿勢(前うつ)と仕事への適応感は格差が縮小する中で上昇してきた。これらの姿勢を今後も伸ばしていくことがメンタルヘルスの向上と職場活性化につながる。
      企業は目標の数字を示すだけでなく、仕事の内容をも充分に説明し、仕事を通じて自分の居場所を見出せるようにし、価値ある仕事を提供し、その結果「仕事への適応感」を高める必要があろう。

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