2005年版 産業人メンタルヘルス白書
2005年8月12日
公益財団法人 日本生産性本部
調査研究・提言活動 資料ダウンロード
財団法人 社会経済生産性本部はこの度、2005年版『産業人メンタルヘルス白書』を発表した。この白書は、自殺者が7年連続で3万人を超えるなど「心の病」が増加傾向にある中で、
産業界におけるメンタルヘルスへの取り組みの促進を図るため、2001年から毎年発表している。
~ 2005年版 『産業人メンタルヘルス白書』の概要 ~
- I.白書の構成
- 第1部 論文 「メンタルヘルスへの組織的対応を」
「産業人メンタルヘルスの動向」
「復職における現状と課題」
「JMI電話相談からみた働く人のメンタルヘルス」 - 第2部 調査研究 「労働組合のメンタルヘルスの取り組み」に関するアンケート調査結果
「長時間労働とメンタルヘルス」 - 第3部 資料
- 第4部 年報
- 第1部 論文 「メンタルヘルスへの組織的対応を」
- II.調査研究の概要(長時間労働とメンタルヘルス)
長時間労働は、過重労働の元凶として声高に叫ばれている。残業対策はメンタルヘルス対策として有効か、
残業を減らす方法はあるのか、「心の定期健康診断(JMI)」調査によるデータを通じて検討した。- 1.残業対策はメンタルヘルス対策として有効か
残業時間が増えると、1.生活習慣を乱す。特に睡眠時間が減る方向にある。2.心身の健康尺度は不健康な傾向となる。特に「疲労」は顕著に悪化する。3.職場では「仕事への負担感のなさ」が負担感のある方向にふれる。
4.家族との関係は、残業が60時間以上になると問題がうかがえる。5.自殺念慮も60時間以上になると増える、
といった状況が見られるため、長時間残業は決して好ましいものではない。ただし、残業時間だけを頼りにメンタルヘルス対策を行うと、残業時間の少ない人たちへのメンタルヘルス対策が見落とされがちになり、対策からもれる可能性のあることが懸念される。 - 2.残業対策は個人に責めを求めるテーマか
長時間残業者を特定し対策を講じることが、結果として本人の意欲を削ぐばかりでなく、罰則としての意味合いを持たないか懸念される。個人責任を過度に追及することは、メンタルヘルス上も好ましくなく、残業規制の達成と引き換えに不調者の増加をもたらしかねない。
- 3.職場の現状に合った対策を
残業が多いことは基本的に好ましいことではない。しかし一律に残業規制するのではなく、残業の多い理由が意欲の高さのためなのか、職場設計がうまく行っていないためなのか、見極めがまず必要である。
データからは、仕事の範囲・責任が明解になっている職場ほど不調者が少なく、残業時間も少ないという結果が得られている。今後は、職場の現状に合った対策が望まれる。
- 1.残業対策はメンタルヘルス対策として有効か
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