調査・研究その他の調査研究・提言

第13回 働く人の意識調査

「5類」移行で感染不安は減少、テレワークは大企業の実施率低下で過去最低に

2023年8月7日
公益財団法人 日本生産性本部


調査研究や提言、実践活動により生産性向上をめざす公益財団法人 日本生産性本部(東京都千代田区、理事長:前田和敬)は8月7日、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(第13回「働く人の意識調査」)結果を取りまとめ、公表しました。本調査は、組織で働く雇用者を対象に、勤め先への信頼度や雇用・働き方に対する考え方などについて、2020年5月以降、四半期毎にアンケートにより実施(今回調査より6か月に一回の実施に変更)しているものです。 13回目となる今回は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行してから約2か月が経過した7月10日(月)~11日(火)、20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている者(雇用者=就業者から自営業者、家族従業者等を除いたもの)1,100名を対象にインターネットを通じて行いました。 調査結果から、新型コロナウイルス感染症に対する不安感が調査開始以来最小となるなど、新型コロナウイルスの「5類」移行に伴う変化が数多くみられました。また、テレワークの実施率が15.5% と過去最低を記録し、特に大企業でのテレワーク実施率が低下しました。主な特徴は以下の通りです。


【第13回「働く人の意識調査」主な特徴】(詳細や図表は別添「調査結果レポート」参照)

1. 現況:景況感は改善、感染不安は70代以上を除く全世代で調査開始以来最小(図2~11)

  • ・現在の景気について、「悪い」「やや悪い」の合計が前回1月調査の76.1%から54.6% へと減少。今後の景気見通しも、「悪くなる」「やや悪くなる」の合計が前回の50.6%から39.1%に減少。特に「悪くなる」は27.5%から18.6%に減少している(図2,3)。
  • ・自身が新型コロナに感染する不安については、「かなり不安を感じている」(11.2%)、「やや不安を感じている」(39.7%)と、ともに調査開始以来最小を記録。(図5)。年代別では、70代以上を除く全世代で調査開始以来最小となり、70代以上は2022年10月調査とほぼ同程度(図6)。

2. 働く人の意識の変化:雇用不安を「感じない」が5割超、勤め先への信頼は改善(図12~36)

  • ・自身の雇用について、「全く不安は感じない」「どちらかと言えば不安は感じない」合わせて53.2%が「不安は感じない」と回答。7回連続して「不安は感じない」が5割を上回った(図14)。
  • ・勤め先への信頼の程度は、「信頼している」(「信頼している」「まずまず信頼している」の合計)が57.8%と、減少傾向から反転(図16)。
  • ・キャリアプランの有無について、「大まかなキャリアプランを思い描いている」は29.4%(2022年1月)から23.0%に減少、「特に考えていない」は66.1%から72.1%に増加(図23)。

3. 働き方の変化:テレワーク実施率は15.5%と過去最低、大企業の実施率が低下(図37~46)

    • ・テレワークの実施率は前回の16.8%から15.5%に減少し、過去最低(図38)。従業員規模別では、1,001名以上の勤め先で前回34.0%から22.7%に減少し、全体の実施率低下に寄与(図39)。
    • ・テレワーカーの週当たり出勤日数は「0日」が25.4%から14.1%へと減少(図41)。
    • ・自宅での勤務で「効率が上がった」「やや上がった」と回答した割合は前回の66.7%から71.6%に増加し、過去最高(図42)。また、自宅での勤務に「満足している」「どちらかと言えば満足している」の合計は86.6%と過去最高となった前回1月調査(87.4%)から微減(図43)。
    • ・今後もテレワークを行いたいかについて、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の合計は、前回1月調査の84.9%から86.4%へと増加(図46)。

【「働く人の意識調査」概要】
公表日 調査期間 タイトル 調査期間の特徴
第1回
2020年5月22日
2020年
5月11日~13日
労使の堅固な信頼関係の再構築と「新しい生活様式」に向けた意識改革を 初の緊急事態宣言発出(4月7日)から1か月半
第2回
2020年7月21日
2020年
7月6日~7日
組織の生産性向上につながる労使の信頼関係の再構築を 緊急事態解除(5月25日)から1か月半
第3回
2020年10月16日
2020年
10月5日~7日
人的資本への積極投資を。テレワークは一定程度定着の兆し 「GoToトラベル」等積極的経済活動再開から3か月
第4回
2021年1月22日
2021年
1月12日~13日
組織の健康配慮が行動変容を後押し、社会経済システムや組織への信頼強化を 二度目の緊急事態宣言発出(1月7日)直後
第5回
2021年4月22日
2021年
4月12日~13日
行動や働き方の変容には、宣言・措置よりも労使による積極的取り組みと課題解決を 一部地域に「まん延防止等重点措置」適用(4月5日)直後
第6回
2021年7月16日
2021年
7月5~6日
ポストコロナの社会・経済変化に懐疑的、コロナ以前に回帰か。「テレワーク疲れ」に注視を 東京オリンピック・パラリンピック開催まで約3週間
第7回
2021年10月21日
2021年
10月11日~12日
テレワーク実施率、宣言・措置解除後も約2割で推移 国による緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の解除後、約10日が経過
第8回
2022年1月27日
2022年
1月17日~18日
テレワーク実施率は過去最低の18.5%、中堅・大企業の実施率低下が影響 感染力の強いオミクロン株による新規感染者が急増、まん延防止等重点措置、3県適用中、13都県適用直前
第9回
2022年4月22日
2022年
4月11日~12日
テレワーク実施率は約2割で推移、在宅勤務の満足度は過去最高に 国によるまん延防止等重点措置の解除後、約3週間が経過し第7波の予兆を懸念
第10回
2022年7月25日
2022年
7月4日~5日
テレワーク実施率は16.2%と過去最低を更新、20代・30代の実施率が大幅減 訪日外国人客の受け入れが2年ぶり再開。国際情勢は緊迫。円安や、原材料価格高騰などで消費者物価が上昇
第11回
2022年10月28日
2022年
10月11日~12日
感染不安は薄れる傾向が続く、テレワーク実施率は17.2%と低調に推移 原材料価格高騰や円安が進行し、消費者物価は上昇傾向。円が32年ぶりに1ドル=150円を割り込む。政府・日銀は24年ぶりに市場介入
第12回
2023年1月27日
2023年
1月10日~11日
第8波到来で感染不安高まる、テレワーク実施率は16.8%と過去最低に近く 原材料価格の高騰による光熱費、日用品、食品などの値上げが続く。中国当局が日本人向けのビザ発給を一時停止
第13回
2023年8月7日
2023年
7月10日~11日
「5類」移行で感染不安は減少、テレワークは大企業の実施率低下で過去最低に 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行してから約2か月が経過
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