第3次中期運動目標(2024年度~2026年度)
「公益法人としての組織・活動の進化と生産性運動の実践力の深化の3年」

内外共に歴史的な転換点を迎えている今、わが国に求められているものは、持続可能な経済社会の構築にむけた確かな国家ビジョンの構築、マクロ・ミクロの諸改革にむけた国民的合意形成の促進、改革を推進する確かな実践力である。
中でも、生産性をめぐる諸改革の推進は、長期停滞を打破し、人口減少時代においてわが国経済社会が今後も活力を維持し、成長を遂げていくための国家の存立にかかわる核心的かつ喫緊の課題であり、日本生産性本部が果たすべき使命と役割はきわめて重い。
生産性運動は第3次中期運動目標(2024年度から2026年度)の2年目にあたる2025年に70周年の節目を迎える。また、現在政府・国会ではさらなる公益法人制度改革にむけた法改正が進められており、当本部としても、これを積極的に受けとめ、公益活動の担い手として改めて組織のあり方や公益活動の革新をさらに問い続けていく必要がある。
われわれは以上の時代認識のもと、今後3カ年を「公益法人としての組織・活動の進化と生産性運動の実践力の深化の3年」をテーマとし、生産性運動70周年をひとつの節目として位置づけながら、労使の信頼と協力のもと、「生産性運動三原則(PDF:407KB)」を基軸としつつ、以下5つの柱を中心に活動に取り組むものとする。

(1)生産性のハブ・プラットフォームとしての発信と運動推進体制の強化

  1. 1.2025年度に「生産性運動70周年大会」を開催し、これを軸に全国生産性機関全労生等と連携し生産性運動や日本の諸課題について世論喚起・合意形成活動に取り組む。
  2. 2.生産性運動70周年にむけ「生産性常任委員会」を再始動させ、労使を含め各界が共有すべき今後の生産性改革の指針を検討し、第2回「生産性白書」として広く発信する。
  3. 3.公益法人制度改革を見据え、会長諮問の公益活動のあり方等に関する常設の委員会を設置し、中長期視点から公益を担う組織としての財団運営や公益活動の継続的改善に取り組む。

(2)社会経済システムの改革にむけた合意形成活動の推進

  1. 1.令和臨調」を軸に「統治構造・政治改革」「財政・社会保障制度改革」「地域・国土構想」「科学技術立国再興」等について超党派の国会議員や各界と連携し合意形成活動を促進する。
  2. 2.持続可能な経済社会を実現する上で国家最重要課題の一つであり、生産性運動の基盤に関わる人口減少問題について国民的な世論喚起・合意形成活動に乗り出す。
  3. 3.多様な人材が活躍できる社会の実現にむけ、「全国労働組合生産性会議」とも連携しダイバーシティや働き方改革を推進するとともに、健全な労使関係の発展に取り組む。

(3)日本の人材戦略と中核人材の育成

  1. 1.第5期「日本アカデメイア」(2024年度から3カ年)を立ち上げ、官民ネットワークのさらなる充実強化とわが国を担う中核人材の育成、各界や次世代の提言力強化に取り組む。
  2. 2.グローバル、デジタル、グリーンを軸に「経営アカデミー」等人材育成事業が提供する価値を革新する。また公共人材育成の新たなプラットフォーム「公共アカデミー」を立ち上げる。
  3. 3.軽井沢トップ・マネジメント・セミナー」や「イノベーション会議」等の活動を通じ、イノベーション創出の環境整備や経営革新を担う経営人材の育成に取り組む。

(4)付加価値増大を軸とした生産性改革と「成長と分配の好循環」の創出

  1. 1.第5回「日本サービス大賞」(2025年度)の取り組みを通じ、革新的かつ優れたサービスの発掘・普及に取り組むとともに高い成長余力をもつサービス産業の生産性向上に寄与する。
  2. 2.日本経済全体の持続的な底上げに取り組むべく中堅・中小企業の付加価値増大にむけた経営コンサルティング活動を実践する。また、人口減少下における地域の生産性向上に取り組む。
  3. 3.ICTソリューションの提供を通じ医療保険分野のデジタル化を軸とした生産性向上に取り組むとともに、働く人のウェルビーイングと組織の健康経営を支援する。

(5)国際連携体制の構築

  1. 1.生産性経営者会議」を通じ、生産性を軸に日米独等経営リーダーの対話・交流・共同研究を促進する。その一環として第3回「生産性ビジネスリーダーズ・フォーラム」を開催する。
  2. 2.日本アカデメイアの活動を軸に世界のシンクタンク・知識人等との連携を強化する。その一環としてグローバルアジェンダを発信すべく第2回「東京会議」を開催する。
  3. 3.各国生産性機関や国内外の関係諸機関と連携し、アジア・アフリカ・南米等の地域における生産性向上にむけた技術協力に取り組むとともに、日本のプレゼンス強化に貢献する。

2024年4月1日
(2024年3月25日 定時理事会決議)