第2次中期運動目標(2021年度~2023年度)
「日本の改革と生産性運動の新展開~基盤整備の3年から改革実践の3年へ」

われわれ、日本生産性本部は、2018年3月の定時理事会において、設立当時に匹敵する覚悟で生産性運動を再起動する決意を固め、「人口減少下の新たな生産性運動の基盤整備」を旗印に、3カ年(2018年度から2020年度)からなる第1次中期運動目標を掲げ、活動に取り組んできた。

人口減少、デジタル化、地球温暖化等、歴史的な転換点を迎えている今、わが国に求められているものは、ポストコロナを見据え、持続可能な経済社会を実現するための確かな国家ビジョンの構想と改革にむけた国民的合意形成の推進である。中でも、生産性改革はわが国の経済社会を立て直すための最も核心的かつ喫緊の課題である。

われわれは、以上の時代認識に基づき、今後3カ年(2021年度から2023年度)を「基盤整備の3年から改革実践の3年へ」と位置づけ、生産性運動三原則のもと、労使の信頼と協力を基盤としつつ、コロナ危機を乗り越え、日本の改革にむけて以下の活動に取り組む。

(1)生産性のハブ・プラットフォームとしての発信と実践展開

  1. 1.第1回生産性白書」を軸に、今後の生産性改革のあり方について議論を行う基盤づくりと世論喚起に取り組み、国民各界各層に働きかけ合意形成活動を推進する。
  2. 2.生産性常任委員会」の活動を通じ、生産性をめぐる各分野の今日的課題についてさらに議論を深め、政策提言を行う。
  3. 3.政府の政策や企業の経営改善の実践に寄与する生産性分析・調査研究能力の向上をはかる。時代変化に即応した生産性測定の新たな指標づくりを目指す。

(2)社会経済システム改革にむけた合意形成活動の推進

  1. 1.統治構造改革、財政再建・社会保障制度改革、国土構想等、平成時代から先送りされてきた改革課題に取り組むための令和の国民会議を立ち上げ、改革推進の合意形成活動に取り組む。
  2. 2.働く意欲の向上と能力の発揮を促し、誰もが生涯にわたり活躍できる環境整備を図るため、働き方改革やキャリア形成の推進、労使関係の健全な発展にむけた支援を行う。
  3. 3.ICTソリューションの提供を通じ、日本の医療保険分野のデジタル化推進と生産性向上に取り組むとともに、健康経営と組織活性化を支援する。

(3)日本の人材戦略の再構築と中核人材の育成

  1. 1.グローバルに通用し組織の経営革新を実践する中核人材を育成する。設立当時に匹敵する、産業界リーダーが集い・交流・発信する令和の新たなプラットフォームを創出する。
  2. 2.顧客価値経営の実現にむけ、「経営品質活動」を軸に、競争力のある経営構造への転換を図るとともに、企業・組織の経営革新を担う人材を育成する。
  3. 3.日本アカデメイア」の活動を通じ、日本の将来を担う各界の中核人材、次代を担う大学生等の育成を支援する。

(4)付加価値増大を軸とした生産性改革と「成長と分配の好循環」の創出

  1. 1.サービス産業生産性協議会」の活動を通じ、革新的な優れたサービスを「日本サービス大賞」として表彰し普及促進するとともに、企業・組織の経営革新の支援を行う。
  2. 2.日本経済全体の底上げを図るべく、中堅・中小企業等の生産性向上にむけた経営コンサルティングを実践する。地方創生や地域経営を支える人づくりに取り組む。
  3. 3.イノベーション会議」の活動を通じ、企業における持続的イノベーションの創出を支える組織と人材のあり方について討究・発信する。

(5)国際連携活動の強化

  1. 1.日米欧の経営リーダーによる生産性を軸とした対話、交流、共同研究・調査を本格化させる。また、アジア諸国の経営リーダーとの連携体制を段階的に構築する。
  2. 2.日本アカデメイア」を軸に、世界のシンクタンク・知識人等と連携し、ポストコロナ時代のグローバルガバナンスについて討議し、グローバルアジェンダを発信する。
  3. 3.アジア・アフリカ地域等の生産性向上を支援するべく、現地産業人材の育成やコンサルティングをはじめとする知的・人的交流の推進と日本企業の進出支援を行う。

2021年4月1日
(2021年3月15日 定時理事会決議)