経営品質協議会

代表 泉谷 直木 アサヒグループホールディングス 取締役会長兼取締役会議長

経営品質協議会は、日本生産性本部が1995年に創設した「日本経営品質賞」を中核として、経営品質向上活動を普及・推進し、日本企業の生産性向上を支援しています。経営品質向上活動は現在、全国22の地域で1,200組織によって実践されています。

2018年度日本経営品質賞授賞式(2019年2月)
2018年度経営デザイン認証式(2018年12月)

「経営品質」とは?

「経営品質」とは、製品やサービスそのものの質ではなく、質の高い製品やサービスを生み出すための経営・マネジメントの質を指します。つまり、「経営品質が高い組織」とは、提供する製品・サービスの品質のみならず、経営全体のレベルが高い組織のことです。

「日本経営品質賞」創設の背景~「顧客本位」の経営への転換

「経営品質」という概念は、1980年代のアメリカで生まれました。当時、国際競争力が低下していたアメリカは、日本やドイツ等の優れた企業を徹底的に研究した結果、「顧客に高い価値を提供することが競争力の源泉である」と結論づけました。そして、これを実践している優れた組織、つまり経営品質が高い組織を大統領自らが表彰することとし、1987年に「マルコム・ボルドリッジ国家品質賞(MB賞)」を創設しました(マルコム・ボルドリッジ氏はレーガン政権当時の商務長官)。また、表彰のみならず、受賞組織の取り組みを広く共有することにより、産業全体の競争力強化を図る仕組みをつくりました。
1990年代に入り、バブル経済崩壊後の日本では、経営の立て直しに悩む企業が増えていきました。そこで、日本の産業界をリードする企業の幹部が集まり研究を重ねた結果、その解決策を「サプライサイドからデマンドサイドへの経営の転換」、つまり、供給者側の視点ではなく、顧客・市場にとって高い価値を創造し、提供し続けられる経営をつくりあげることに求めたのです。そして、米国のMB賞を範とし、日本版にカスタマイズする形で、1995年に「日本経営品質賞」が創設されました。翌1996年には、経営品質向上活動を普及させるために経営品質協議会が創設され、その事務局が日本生産性本部内に設置されました。経営品質向上活動は経営の基本要素として、「顧客本位」だけではなく、従業員を重視し、その組織で働くことにやりがいを感じられるようにすること、組織は社会システムの一翼を担う存在であり、社会との調和を図ることなどを掲げ、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の「三方よしの経営」の実現も追求しています。

経営品質を向上させるために~「イノベーション」は「取り組む」もの

「経営品質」は、組織が目指す姿=「卓越した経営」の実現に向け、今の経営の状態を振り返り、経営革新やイノベーションに取り組むことによって高めることができます。ここでいう経営革新、イノベーションとは「今、わが社の商品やサービスはどうなっているのか」「その商品やサービスを魅力あるものにするためには、どのような取り組みが必要か」を考え、これまでの取り組みを見直すことを指します。つまり、イノベーションを「偶発的に起きるもの」ではなく「取り組むもの」として捉えています。
「卓越した経営」の実現に向かっている現在の立ち位置は、「日本経営品質賞アセスメント基準書」で確かめることができます。まず、「アセスメント基準書」の「組織プロフィール」を作成し、組織の生い立ちや現状を振り返り、事業の魅力や独自性について社員全員で共有をし、その強みを最大限に発揮して将来何ができるのか、組織の方向性を考えます。つまり「組織プロフィール」は「これからの経営設計図」でもあります。この「組織プロフィール」を踏まえて、現在の経営の状態を把握し、例えば、研修を実施していてもあまり効果が上がっていないのであれば、研修内容の見直しを行う、あるいは、会議は頻繁に開催していても議論が停滞気味だとすれば、会議スタイルや対話の仕方を変えてみるなど、改善を図っていきます。これが「経営品質」におけるアセスメントであり、経営革新、イノベーションへの取り組みです。これを繰り返すことにより、「卓越した経営」に近づいていきます。
アセスメントを実施する際には、現在の経営状態すなわち「組織成熟度」が明らかになります。「組織成熟度」はDからAAAの6段階のレベルで示されます。AAAの状態が「卓越した経営」です。日本経営品質賞を受賞する企業はA以上のレベルにあることが一つの基準になっています。

経営品質向上活動の成果

このような経営品質向上活動の成果は顕著に表れます。ビジネスホテルチェーンのスーパーホテル(2009年度・2015年度日本経営品質賞受賞)は、価格競争が激化するなか、「低価格」よりも「1円当たりの顧客満足日本一」を掲げ、その体制を整えることで、顧客満足度No.1に輝きました(2014~2018年J.D.パワーホテル宿泊客満足度調査・1泊9,000円未満部門)。保険代理業のトップ保険サービス(2017年度受賞)は本業を「保険を売る」ことではなく「顧客対応」と位置づけ、同業他社が容易に追いつけないサービスで成功しています。また、一時期、組織が壊れ、社員が3人にまで減少していたコンサルティング会社のピアズ(2016年度受賞)は、高い従業員満足度と業界平均を大幅に下回る離職率で事業規模を拡大しています。
経営品質向上活動の第一歩を踏み出すための「経営改革」の枠組みや思考プロセスをガイドすることを目的に、日本生産性本部は2018年度に「経営デザイン認証制度」を創設しました。活動の土台となる「組織プロフィール(経営デザイン)」を作成するにあたり、第三者からのアドバイスを受けられる仕組みで、事業承継等の経営課題に直面する多くの経営者が取り組んでいます。
日本生産性本部は経営品質向上活動を通じて、日本企業の生産性向上を支援しています。