生産性新聞「徒然なれど薑桂之性は止まず」連載開始について
生産性運動は来年70周年の節目を迎えます。内外に課題が山積する中、私たちは、次の世代に対し日本の経済社会の持続可能性をたしかなものにし、希望ある未来を作り上げていく責任を共有しています。生産性運動はその一助となるために、そのあり方を自問自答するべき時期を迎えています。
生産性がこれほど叫ばれる時代は生産性運動の草創期以来のことかもしれません。しかし、生産性運動とは何かということについては、生産性という言葉の使われ方を含め、今日ほど多義的で同床異夢の時代もないかもしれません。生産性運動三原則についても同様です。運動が常に歴史性を帯びるものである以上、生産性とは何か、生産性運動とは何かという基本的な問いを繰り返し続けていくことは、私たちの世代に課せられた最低限の責務だと考えます。
新しい時代を切り拓くためには歴史に学ぶことが必要です。そして歴史は、それに関わった方々のご経験や思いを通じて鮮やかに現代に蘇ります。
生産性新聞では、生産性運動の推進に尽力された方々にこれまでのご経験と生産性運動のあり方について率直に語っていただく場を設けることが責務であると考え、新たな連載を開始します。
その幕開けは、かねてより敬愛し個人的にも長年ご指導やアドバイスをいただいてきた髙木剛さんにお願いすることにしました。髙木さん、ご多用にも関わらず思いを受け止めていただき、ご快諾を得られたことに改めて感謝申し上げます。
髙木さんには、生産性運動にとどまらず、日本社会のあり方や産業界労使に直言していただきたいという思いで連載をお願いしています。「厳しいご意見や叱責も大歓迎です」とお伝えし、無理を言ってお引き受けいただきました。皆さん、楽しみにしていただければと思います。
公益財団法人 日本生産性本部 理事長 前田 和敬
執筆者について
髙木 剛 連合顧問
1967年東京大学法学部卒業、同年旭化成工業入社。全旭化成労働組合連合会書記長、宮崎地方同盟会長、ゼンセン同盟書記長などを経て、1996年ゼンセン同盟会長。2005年連合会長、2009年から現職。2007年国際労働財団理事長、2009年全労済協会理事長。元全労生議長。日本司法支援センター(法テラス)顧問。
おことわり
髙木剛氏は2024年9月2日に逝去されました(80歳)。謹んで哀悼の意を表します。本連載については、筆者より寄稿いただいた原稿(全22回)を最終回まで掲載してまいります。
本コラムについて
以下から各回の内容をご覧いただけます。
- 第1回「連合会長退任して14年―年寄りの冷水との批判も甘受」
- 第2回「ガタガタになった『日本的経営』」
- 第3回「『日本的経営』の劣化に随伴した事象」
- 第4回「『生産性運動三原則』の形骸化は何故止められなかったのか(その1)」
- 第5回「『生産性運動三原則』の形骸化は何故止められなかったのか(その2)」
- 第6回「『生産性運動』が花咲かせた背景(その1)」
- 第7回「『生産性運動』が花咲かせた背景(その2)」
- 第8回「シンガポールの素晴らしい発展」
- 第9回「ASEANと生産性運動」
- 第10回「国際労働財団と生産性運動」
- 第11回「イスラエル、パレスチナの労組との交流支援」
- 第12回「日本人は働き過ぎ」論とスピード感に欠ける日本の対応
- 第13回「司法制度改革審議会への参加」
- 第14回「司法制度改革①(増加する個別労使紛争への対応)」
- 第15回「司法制度改革②(労働審判制への対応)」
- 第16回「司法制度改革③(個別労使紛争増加への対応)」
- 第17回「大変難しい死刑廃止論議」
- 第18回「司法の国民的基盤の強化」
- 第19回「脆弱な日本の司法サービスの改善」
- 第20回「労戦統一の余話(その1)」
- 第21回「労戦統一の余話(その2)」