メンタル・ヘルス研究所の沿革

1977年2月

「メンタル・ヘルス調査研究会」を設置(開発研究第一段階)

当時、「働く者の健康が低下しては、職場の生産性を保障することは難しくなる」との問題意識から、体の健康管理は実施されていたものの、心の健康については何も手がついていませんでした。このような状況を打破するため、日本生産性本部はメンタル・ヘルスについての研究を開始しました。

1978年4月

「メンタル・ヘルス研究委員会」を設置(開発研究第二段階)

(委員長:内山喜久雄氏 筑波大学教授)

産業界(産業医、人事担当)からの委員に加え、精神医学、心身医学、生理学、心理学、経営学などの専門家の協力を得て、JMI健康調査票の構想がまとまり、具体的な開発に着手しました。

1978年6月

「メンタル・ヘルス・プロジェクト特別会員」を募集

企業・労働組合などに開発のための助成を要請しました。

1978年10月

「渡米メンタル・ヘルス調査団」派遣(最初の海外調査)

米国のメンタルヘルスの状況とその対策について、初の視察調査を行いました。米国はアルコールを含む薬物問題を中心にメンタルヘルスが重大な問題となっており、日本との違いが明らかになりました。

1979年5月23-24日

「第1回メンタル・ヘルス大会」開催

東京・丸の内の東京商工会議所ビルで、この分野に対する根強い誤解・無理解を払拭し、正しい理解を広めることを目的に開催しました。当時は、メンタル・ヘルスの不調は「特別な人の例外的な個人的問題」と認識されており、組織全体で取り組むテーマとはなっていませんでした。

職場領域、身体領域、精神領域、性格領域の4領域からなり、596項目の質問項目からなる「JMI(Japan Mental Health Inventory)健康調査」が完成し、提供を開始しました。プライバシーの厳守を絶対条件として結果を個々人の自宅に直送、希望に応じて専門家を紹介し、さらに個人ばかりでなく組織のメンタルヘルス状況を評価することによって、個人と組織双方の健康向上を目的としました。

1985年6月

「米国企業活力とメンタルヘルス調査団」派遣

調査団の報告書は、現在では広く知られるようになったEAP(Employee Assistance Program)を、日本に初めて紹介する資料となりました。1978年の報告書にも「従業員援助計画」という記述は見られますが、EAPが企業を横断する制度として認識されてはいませんでした。
1988年の「Drug Free Workplace Act」はEAPを法律の適用に組み込んでおり、米国では1985年にはEAPが一般名称化していたと思われます。

1998年8月

「JMI健康調査による経年変化データ」の発表

定点観測として1982年度から1997年度にかけてのJMI健康調査の経年変化を集計・分析しました(要約はこちら)。以後もJMI健康調査の蓄積を踏まえ、テーマ別に調査を実施し、発表しました。

1999年8月

「産業人のメンタルヘルスと企業経営」の発表

働く人々のメンタルヘルスと経営指標との関連を調査しました(要約はこちら

2000年8月

「JMI健康調査による職場不適応とメンタルヘルス」

職場不適応の代表例である「自殺・事故・離職・仮病」の心理的因子を分析するとともに、労働組合員の精神健康度などを探る「労働組合メンタルヘルスJMI共同調査」を発表しました(要約はこちら)。

初のメンタルヘルス白書を発表しました。以後、2011年まで毎年刊行し、2012年からは休刊中です。

質問項目を596から400項目とし個人結果・組織分析フォームの仕様を変更した改訂版調査の提供を開始しました。

2002年8月

「メンタルヘルスに関する企業アンケート」の実施

企業におけるメンタルヘルスに関する取り組み状況や課題を明らかにするために、上場企業を対象にしたアンケート調査を現在に至るまで2年に1度実施しています。調査結果は各種マスメディアを通じて広く公開・周知されています。(調査結果一覧はこちら

「健康いきいき職場づくり」の概念と具体的方策を国内に広く普及し、働く人の心身の健康増進と企業の生産性向上を支援することを目的に、東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野と協同して設立しました。

インターネット上で受検ができるようにシステムを改修し、提供を開始しました。

個人・仕事、職場、組織の3領域において、組織でとられている行動、行動を促進する態度、態度を形成する資源の状態を明確にし、調査結果を根拠としたシナリオに基づく組織変革によるイノベーションの実現を支援するために開発しました。

400問の質問項目を76問に凝縮し、より簡易に調査できる調査票の提供を開始しました。400問版調査票と交互での実施を想定しています。

国が標準項目として示した職業性ストレス簡易調査票に対応しつつ、これまでのメンタルヘルス研究の知見を組み込んだストレスチェックサービスの提供を開始しました。